23　『大乗広百論釈論』巻一〇　　一巻
大東急記念文庫蔵　紙本墨書
平安時代（九世紀）
　法隆寺一切経のうち、『大乗広百論釈論』の零巻。
Daijokohyakuronshakuron, fascicle 10
Heian period,9th century
Handscroll,ink on paper
Daitokyu Memorial Library

　本品は書写奥書をもたないが、白点を付した際の「承和八年七月八日」という白書があり、九世紀前半の書写にかかる。本一切経での古写経転用の経緯を記す唯一の例で、静因が修治をくわえ、一切経蔵に加えたことがわかる。静因は全期間にかかわっていることなどから、古写経転用の発案者の可能性が考えられる。